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プロジェクト・ヘイル・メアリー 感想【ネタバレあり】
この本を知ったのはゆるコンピュータ科学ラジオというポッドキャストで紹介されていたから。
そのポッドキャストで本の解説はあっても感想、特に小説について語る回はこれまであんまり無かったんだけど、プロジェクト・ヘイル・メアリーは感想だけでまるまる1本尺が取ってあった。冒頭で、めちゃくちゃ面白いので何も知らない状態で読んでください、という忠告を受けたので、いつか読んでからこの感想回を見よう、と思いつつ数年が経つ。
そんな風にウダウダしていたところに、本作が映画化するという話を耳にし、予告編とかをうっかり見ちゃう前にいよいよ読まなきゃなと思っていたらKindleでセールになっていたので即買いした。
そういうわけでこの本をまだ読んでない方はブラウザバックして、ぜひ読了してから以下の文章をお読みください。
ちなみにゆるコンピュータ科学ラジオの該当回はこちら。
以下感想です。
ハッピーエンドでよかった〜〜!!!
こんなに良い調子で物語が進んでいって、このまま何もなく終わるわけが無くない? 途中で帰れなくなるとか、地球に帰れたけどもう人類は滅んでいたとか、そんな終わり方じゃない? と戦々恐々としていたのでみんなしあわせエンドで本当によかった。
なんでこんなにびびってたかというと、あれだけ巷で絶賛されている小説だからとんでもない結末なんじゃないかと予想していたのもあるけど、南極の氷を核爆弾で破壊するシーンが本当に衝撃的だったから。アストロファージ問題を完璧に解決する策を持って帰れたとしても、むちゃくちゃに破壊されている環境であることが確定しているって、もしかしてこの話には救いが無い? とかなり愕然とさせられた。地球を救うという大義のために自分の理念を曲げざるを得ないルクレール博士の悲痛な様子でことさらつらい気持ちになった。こんな取り返しのつかなそうな要素を見せてくるのが上巻の終盤というタイミングも絶妙だった。重々しい場面なのに爆破の瞬間が「なにも起きなかった。海岸線はもとのままだ。爆発もなければ閃光も見えない。パンという音さえ聞こえなかった。」とあっさりした描写なのも、その空虚さが絶望感に拍車をかけていると思う。あの場面すごかったな……。なんだかんだでここが一番記憶に残っているシーンかもしれない。
上巻は平日4日間くらいで読み切ったし、下巻は1日(多分4時間くらい)しかかからなかった。もうすっかり読書筋が衰えちゃったと思ってたけどそんなことなかった。面白い本の吸引力って本当にすごい。
ヘイル・メアリーに乗るまでにしても、アストロファージ問題を解決するにしても、どちらも過程がしっかり描かれているからこんなに続きが気になっちゃうのかな。普通なら割愛されてそうなところも丁寧に仮説・実験内容・結果が記述してあるので全部理解と納得しながら読み進めることができる。問題の提示とそれが解決されるまでのテンポもいい。だからこそ本当に絶望的な状況で解決までの描写に時間をかけて、もしかしてどうにもならないのでは……! と思わせることで焦燥感を煽りつつ、でも最後まで希望を失わずに読むことができる。
過去と現在の話が同時並行で進んでいくのもミソだなあ。単純に話の密度が倍になってるから全然飽きない。
もう何はともあれロッキーがラブすぎる。奇跡的なぐらい善良で、不気味な見た目とは裏腹に可愛げがすごかった。最高、最高、最高!
ただただ仲良くやっていくだけでなくお互いにイラついたり悪態ついたりする描写があったのもリアリティあってよかったな。どんな人格者でもあの状況じゃ余裕が無くなるし、異なる文化や生態の生き物が相手ならなおさらそう。でも絶対的な共通目的があるからっていう理由だけでなく、ロッキーと知識や技術を通したやり取りに加えて文化を理解し合って仲を深めていく様子が面白かった。記憶に強く残っているのはロッキーに「皮肉」を教えてあげたところ。文化が違えど皮肉という概念は共通して存在してるんだ〜! という感動とロッキーの秀逸な表現でめちゃくちゃニヤニヤしてしまった。
二人とも論理的にも心理的にも想像力が豊かだったのがよかったよね。どちらか一方だけ優れているのではなく推論も共感もできた。どちらが欠けても二人とも生きて帰ることはできなかった。互いに仲間は自分以外全滅していることを明かす場面の「分離壁に手を当てる」「ロッキーが分離壁の向こうで、ぼくの手がある位置に鉤爪を当てる」という描写とか、ロッキーの人の良さが一気に伝わってきて、優しい異星人でよかった〜って心底安心した。っていうか本当に二人とも自分さえ生き残ることができればいいって奴じゃなくてよかった〜〜!
ストラットさんは使命にすごく忠実で、最善策のために躊躇なくなりふり構わず判断を下せるところが大好きなんだけど、本当にむちゃくちゃやってるので人によっては好き嫌い分かれるんだろうか。グレースをヘイル・メアリーに乗せるくだりはかなり最低なやり方だったし。
ヘイル・メアリーが発進した後は残りの人生は監獄で過ごすことになるかも、と語っていたシーンの切なさがすごく印象的だった。傍若無人でやりたい放題だけど、決して目的を見失わないし判断基準もぶれない彼女はミッションを達成するためなら守るべきはずの地球と人類にすら犠牲を要求する。当然自分だって何もかも全てを捧げるしかない、と覚悟決めてることを軽い口調で語られたこの場面、かっこよすぎるがさすがに同情心が溢れ出てしまった。地球が救われた後、どうにか幸せに生きているといいな……。
最終章の章名だけでちゃんとグレースとロッキーはエリドに戻ってこれたんだ!! ってわかる表現なのめちゃくちゃイケてるって思ったし、ド頭から「ミーバーガー」って明らかに異文化の単語が出てきたの痺れた。
ロッキーがこれまでより砕けた喋り方になってるのもアツい。一緒に多くの時間を過ごしたことでことでより打ち解けたということでもあると思うし、人間の話法を覚えて近付けてくれたのか、もしくはグレースがエリディアン語の理解を深めて細かなニュアンスとかもわかるようになったのかな……と想像できて楽しい。
子どもたちのために、って使命感で動いていたグレースが種族は違えどまた先生になってるのが明かされる終わり方なのもとても美しい。
正直なところ、めちゃくちゃに評価の高い小説なので度肝抜かれるぐらいのとんでもないどんでん返しがあるのではないか、と思っていましたが……。これは私がハードル上げすぎだったかもしれない。でもこの上がったハードルがあったにしても、うおおお面白かった!! と素直に思えたので掛け値なしにずば抜けて面白い小説であることは間違いない。
インターセプターを見返したくなった。あれも絶望的な状況から何とか帰還する宇宙SFで本作と共通点も多いと思うけど詳細をさっぱり忘れている。心底絶望感がすごかったけどめちゃくちゃ面白かったことだけ覚えている……。プロジェクト・ヘイル・メアリーの劇場版も楽しみ!
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2025.11.22
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この本を知ったのはゆるコンピュータ科学ラジオというポッドキャストで紹介されていたから。
そのポッドキャストで本の解説はあっても感想、特に小説について語る回はこれまであんまり無かったんだけど、プロジェクト・ヘイル・メアリーは感想だけでまるまる1本尺が取ってあった。冒頭で、めちゃくちゃ面白いので何も知らない状態で読んでください、という忠告を受けたので、いつか読んでからこの感想回を見よう、と思いつつ数年が経つ。
そんな風にウダウダしていたところに、本作が映画化するという話を耳にし、予告編とかをうっかり見ちゃう前にいよいよ読まなきゃなと思っていたらKindleでセールになっていたので即買いした。
そういうわけでこの本をまだ読んでない方はブラウザバックして、ぜひ読了してから以下の文章をお読みください。
ちなみにゆるコンピュータ科学ラジオの該当回はこちら。
以下感想です。
ハッピーエンドでよかった〜〜!!!
こんなに良い調子で物語が進んでいって、このまま何もなく終わるわけが無くない? 途中で帰れなくなるとか、地球に帰れたけどもう人類は滅んでいたとか、そんな終わり方じゃない? と戦々恐々としていたのでみんなしあわせエンドで本当によかった。
なんでこんなにびびってたかというと、あれだけ巷で絶賛されている小説だからとんでもない結末なんじゃないかと予想していたのもあるけど、南極の氷を核爆弾で破壊するシーンが本当に衝撃的だったから。アストロファージ問題を完璧に解決する策を持って帰れたとしても、むちゃくちゃに破壊されている環境であることが確定しているって、もしかしてこの話には救いが無い? とかなり愕然とさせられた。地球を救うという大義のために自分の理念を曲げざるを得ないルクレール博士の悲痛な様子でことさらつらい気持ちになった。こんな取り返しのつかなそうな要素を見せてくるのが上巻の終盤というタイミングも絶妙だった。重々しい場面なのに爆破の瞬間が「なにも起きなかった。海岸線はもとのままだ。爆発もなければ閃光も見えない。パンという音さえ聞こえなかった。」とあっさりした描写なのも、その空虚さが絶望感に拍車をかけていると思う。あの場面すごかったな……。なんだかんだでここが一番記憶に残っているシーンかもしれない。
上巻は平日4日間くらいで読み切ったし、下巻は1日(多分4時間くらい)しかかからなかった。もうすっかり読書筋が衰えちゃったと思ってたけどそんなことなかった。面白い本の吸引力って本当にすごい。
ヘイル・メアリーに乗るまでにしても、アストロファージ問題を解決するにしても、どちらも過程がしっかり描かれているからこんなに続きが気になっちゃうのかな。普通なら割愛されてそうなところも丁寧に仮説・実験内容・結果が記述してあるので全部理解と納得しながら読み進めることができる。問題の提示とそれが解決されるまでのテンポもいい。だからこそ本当に絶望的な状況で解決までの描写に時間をかけて、もしかしてどうにもならないのでは……! と思わせることで焦燥感を煽りつつ、でも最後まで希望を失わずに読むことができる。
過去と現在の話が同時並行で進んでいくのもミソだなあ。単純に話の密度が倍になってるから全然飽きない。
もう何はともあれロッキーがラブすぎる。奇跡的なぐらい善良で、不気味な見た目とは裏腹に可愛げがすごかった。最高、最高、最高!
ただただ仲良くやっていくだけでなくお互いにイラついたり悪態ついたりする描写があったのもリアリティあってよかったな。どんな人格者でもあの状況じゃ余裕が無くなるし、異なる文化や生態の生き物が相手ならなおさらそう。でも絶対的な共通目的があるからっていう理由だけでなく、ロッキーと知識や技術を通したやり取りに加えて文化を理解し合って仲を深めていく様子が面白かった。記憶に強く残っているのはロッキーに「皮肉」を教えてあげたところ。文化が違えど皮肉という概念は共通して存在してるんだ〜! という感動とロッキーの秀逸な表現でめちゃくちゃニヤニヤしてしまった。
二人とも論理的にも心理的にも想像力が豊かだったのがよかったよね。どちらか一方だけ優れているのではなく推論も共感もできた。どちらが欠けても二人とも生きて帰ることはできなかった。互いに仲間は自分以外全滅していることを明かす場面の「分離壁に手を当てる」「ロッキーが分離壁の向こうで、ぼくの手がある位置に鉤爪を当てる」という描写とか、ロッキーの人の良さが一気に伝わってきて、優しい異星人でよかった〜って心底安心した。っていうか本当に二人とも自分さえ生き残ることができればいいって奴じゃなくてよかった〜〜!
ストラットさんは使命にすごく忠実で、最善策のために躊躇なくなりふり構わず判断を下せるところが大好きなんだけど、本当にむちゃくちゃやってるので人によっては好き嫌い分かれるんだろうか。グレースをヘイル・メアリーに乗せるくだりはかなり最低なやり方だったし。
ヘイル・メアリーが発進した後は残りの人生は監獄で過ごすことになるかも、と語っていたシーンの切なさがすごく印象的だった。傍若無人でやりたい放題だけど、決して目的を見失わないし判断基準もぶれない彼女はミッションを達成するためなら守るべきはずの地球と人類にすら犠牲を要求する。当然自分だって何もかも全てを捧げるしかない、と覚悟決めてることを軽い口調で語られたこの場面、かっこよすぎるがさすがに同情心が溢れ出てしまった。地球が救われた後、どうにか幸せに生きているといいな……。
最終章の章名だけでちゃんとグレースとロッキーはエリドに戻ってこれたんだ!! ってわかる表現なのめちゃくちゃイケてるって思ったし、ド頭から「ミーバーガー」って明らかに異文化の単語が出てきたの痺れた。
ロッキーがこれまでより砕けた喋り方になってるのもアツい。一緒に多くの時間を過ごしたことでことでより打ち解けたということでもあると思うし、人間の話法を覚えて近付けてくれたのか、もしくはグレースがエリディアン語の理解を深めて細かなニュアンスとかもわかるようになったのかな……と想像できて楽しい。
子どもたちのために、って使命感で動いていたグレースが種族は違えどまた先生になってるのが明かされる終わり方なのもとても美しい。
正直なところ、めちゃくちゃに評価の高い小説なので度肝抜かれるぐらいのとんでもないどんでん返しがあるのではないか、と思っていましたが……。これは私がハードル上げすぎだったかもしれない。でもこの上がったハードルがあったにしても、うおおお面白かった!! と素直に思えたので掛け値なしにずば抜けて面白い小説であることは間違いない。
インターセプターを見返したくなった。あれも絶望的な状況から何とか帰還する宇宙SFで本作と共通点も多いと思うけど詳細をさっぱり忘れている。心底絶望感がすごかったけどめちゃくちゃ面白かったことだけ覚えている……。プロジェクト・ヘイル・メアリーの劇場版も楽しみ!
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